親父の記憶 VOL.6 潮干狩り
とれる貝の種類も変わってきたが・・
実家から車で30分も走れば、海がある。
海は美味しい食べ物の宝庫であった。
昔は潮干狩りも入場料などは必要なかったのだが、今は入場料をとられるもんな・・・。
世知辛い世の中になったものだ。
アサリ貝なんかは、掘ればいくらでもとれた。
親父に連れられて、よくとりに行っていたのは『キヌガイ』という二枚貝。
関東方面では『アオヤギ』と言ったほうがわかりやすいのかな。
正式名称は『バカガイ』というらしい。知らなかった・・・。
下の写真の貝(市場魚介類図鑑より引用させていただいた)なのだが、こいつが美味しかった。
足を砂の中に埋めながら、指先で探っていくと、貝を見つけることができる。
バケツいっぱいにとれていたものだ。
キヌガイを持って帰り、殻を開いて中身を取り出す。
流水で綺麗に洗ったあとに、その身を刺身で食べる。酢醤油で食べるのだが、これがメチャクチャ美味い!
さらに取り出した身を陰干しにし、水分が完全に抜けるまで干す。
するとスルメのようになるのだが、これを軽く火で炙って食べる。
もう、最高に美味いのさ!!
しかし、残念ながら、最近ではこの貝がとれない。全くいなくなってしまったようである。
海洋汚染のせいなのか、原因はわからないが、近くの海では全くとれなくなってしまった。残念である。
もうひとつよくとりに行っていた貝。
キヌガイ以外にもうひと種類、よくとりに行っていた貝がある。
『マテガイ』である。
大潮の干潮時にしかとりにいけない(でかいのが沖にいるから)のだが、こいつのとり方が面白い。
砂浜を20cmほど掘ると、穴がポツポツと開いている。
そこに塩を入れると、このマテガイが、ぴゅっつと、飛び出してくる。
そいつを捕まえて穴から取り出すのだ。
とり方にはちょっとしたコツがある。
役割分担をするのだ。
穴を掘る係、塩を穴に入れる係、そしてとる係。
親父はいつも砂浜を鍬で掘り、穴を見つける係であった。
そこに母が塩を入れて、子供のワシらがとるという算段。
こういうふうにすると、効率よく掘ることができて、あっという間にバケツいっぱいになる。
このマテガイを持ち帰り、砂抜きをして、バター焼きでいただく。
これ、ホントに美味すぎ!!なのである。
子供でもいくらでも食べられる。
このマテガイは今でもとれるので、今も食すことができる。
ただし・・・
例のごとく、入場料をとられる・・・。
漁協が稚貝を放流しているからという理由のようだが、なんだか、風情がないよな・・・。
この他にも食べられる海藻類なんかも親父から教えてもらったな。
今は覚えていないから、どれが食べられるやつなのか、よくわからないが、当時は海藻も持ち帰り、食べてたぞ。
ああ、それにしても、キヌガイの刺身、もう一度食べてみたいなあ・・・。