初の西海市の波止場。W氏は燃えていた!
燃えていたのには理由がある。
長崎県西海市。
ここのとある波止場に、それは仲睦まじい、クロのファミリーが住んでいた。
透き通った海は、ファミリーにとって最高の住み家であった。
西海の海はエサが豊富で、ファミリーはとても幸せな毎日を送っていた。
豊かな海には家族が暮らすには十分な餌があった。
だから、お母さんクロは子供たちにいつも言っていた。
「オキアミは食べてはだめ。あれは人間が私たちを釣るために撒いているものだから。そんなものを食べなくても、海苔やその他のエサが沢山あるんだから、それを食べるんですよ。」
子供たちはお母さんクロの言いつけを守り、すくすくと育っていった。
ところが、ある日、事件は起こる。
あれほど気を付けていた『オキアミ』。
海中から漂う、美味しそうな香りに、お父さんクロはつい、うっとりしてしまった。
集魚剤にまぶされたオキアミが海中を漂う・・・。
お父さんクロはふらふらと近寄ってしまい、この世のものとは思えないほどの集魚剤の美味しそうな香りにつられ、ぱくっとオキアミを食べてしまったのだ。
体長40cmのお父さんクロは人間に釣られてしまったのだ。
この時の釣り人が、W氏の釣友であるミスターX氏である。
失意の底に沈むクロ家族。
お父さんクロは、美味しい刺身で食べられてしまった。
一方、人間界では、その40cm釣果を聞きつけたW氏がいた。
40cmのクロと聞いては、W氏がだまっているはずはない。
早速、西海市へと馬を走らせた。
釣友が釣り上げた40cmのクロ。
自分も釣り上げないと気が済まぬ。
これがさすらいの上物師たる所以である。
波止場は雰囲気満々。
魚影の濃さがうかがえる。
W氏がもつ、様々な技術を駆使し、クロに挑む。
数ある引き出しの中から、答えを導きだしていく。
美味しそうな集魚剤の香りが海に広がる。
そして超絶テクニックで、その中に、これまた美味しそうなオキアミが同調する。
こうなれば、あのクロ家族の運命は決まっている。
たまらない香りがオキアミと同調しているのだ。
お母さんクロはたまらない。
「こ・こ・この美味しそうな香りは・・・今までに嗅いだことのない香り・・。」
お父さんクロと同様に、思わずぱくっとオキアミを食べてしまった。
お母さんクロがW氏に釣られた瞬間である。
注意する立場のお母さんクロが釣られてしまっては、残された子供たちの運命は決まったようなものである。
お母さんクロと同じく、W氏の同調技にいちころ。
長男と次男も釣られてしまった。
ということで、W氏の釣果がこちら。
30cm前後のクロ一家を釣り、ついでに親戚のおじさんメイタまで釣ってしまった。
型に若干の不満があったW氏であるが、それは仕方ない。
何故なら、お父さんクロは先に釣られてしまったのだから。
お母さんクロと長男、次男を釣ってしまえば、もうこの海にはクロはいませんよ~。
波止場釣行で、一家全員を仕留めれば、グッドジョブっすよ!!
かくして
クロの家族は全員、人間の胃袋におさまったという話しじゃった・・・。